スポーツ栄養・リハ栄養における実践とエビデンスの応用の時の問題

https://cdn.user.blog.st-hatena.com/default_entry_og_image/153624998/1552135237660635

今回はスポーツ栄養について!

リハ栄養と内容は近いかもしれませんね。

そして、スポーツ栄養の中でも

研究結果と現場での応用について

紹介したいと思います。

 

 

まぁ、今回の話は

スポーツ栄養やリハ栄養に限らず

研究結果を現場で応用するときに

注意するポイント

だと思ってもらいたいです。

(今回は、例として運動後のグリコーゲン回復の話をしていきます。)

 

 

 

 

 

研究と現場の乖離

 

 

今回の大きなテーマとして

研究と現場の乖離

があります。

 

これは、どういうことかというと、

研究とは、あるものの効果を明らかにするため、

他の条件は一定にする必要があります。

(いくつも違うことしてると、何のせいで

起こったのか分かんなくなっちゃうからね)

 

ですが、実際の現場では

一人一人が異なっています

なので、研究結果を

そのまま現場で使用できるかというと

「100%大丈夫」とは言えないのです!

 

 

具体例としてスポーツ栄養のガイドラインに使用された論文を

紹介します。

  

 

2008年に公表された栄養摂取のタイミングに関するガイドライン

 

こちらでは、

「運動後(30分以内)の多量の

炭水化物摂取(1.5g / kg)は、

摂取が2時間以降に遅れた場合と比較し、

筋グリコーゲンの再合成を促進する」と示されています。

 

これは、

運動後に炭水化物を

早期摂取することで

体力の回復に繋がる

ということです。

 

このガイドラインの元の論文を読んでみると

 

12名の健常男性にて

自転車漕ぎを行って

運動直後に糖質を含む飲料を飲む場合と

2時間後に飲む場合での

筋グリコーゲンの回復を比較する研究でした。

 

さらに、対象者は、測定する2週間前から

トレーニング量や食事の記録を行い、

測定前の2日間は一定した食事を摂取しています。

また、測定前14時間は絶食し、

筋グリコーゲンを枯渇させています。

 

その結果、運動直後に摂取した方が

2時間後に摂取するよりも

グリコーゲンの回復率が

有意に高かった

としています。

 

しかし、この論文を現場で生かそうとすると

様々な疑問が出てきます。

 

 

論文結果を現場で生かそうとすると生じる疑問

 

 

例えば

・運動直後と2時間後を比較しているが、何

 時間後までに糖質飲料を摂取すればよいのか

・実際のトレーニングにおける運動直後とはいつか

 (各トレーニング終了時なのか1日のトレーニング終了時なのか)

・14時間絶食させ筋グリコーゲンを枯渇させているが、

 枯渇させていない場合でも同じなのか

・自転車以外の種目でも同じか

・糖質以外を含む飲料でも良いのか

・飲料でなく食料でも良いのか

 

などなど、の疑問が出てくると思います。

(これも今私が簡単に想像しただけなので、

実際には、もっとたくさんの疑問が出てくると思います。)

 

 

 

研究者目線では

 

しかし、研究者としてみると

糖質飲料の投与時間の違いの影響

を明らかにするため、

食事やトレーニングなどの

その他の条件は一定にしています。

 

ここに研究と現場の乖離があるといえます。

 

 

研究と現場の乖離の具体例

 

現場では同じチームであっても体格や年齢は違うし、

練習時間や練習内容も同じではありません。

練習以外の生活や食事なども個々によって様々です。

(さらに言うなら個人内でも日によって異なります)

 

研究では、1回の運動と

その結果ですが

その選手は、毎日練習を継続しますし

引退するまで、その生活は続きます。

 

このような状態で単純なデザインの

研究結果を応用できるわけがないと思います。

 

一方で、すべてのパターンの研究ができるわけ

無いのです。

(各時間で摂取した場合や摂取した物の違い、運動の違い等など、、、)

 

では、この問題にどう立ち向かっていくべきなのか

ということです。

 

 

研究と現場の乖離を埋める

 

現場で欲していることと、

研究でできることの間には大きな乖離

があります。

 

特にスポーツ栄養やリハ栄養の分野では

運動量やレベル、練習内容

個々の身体状況など

複雑であるため、

すべてを研究で明らかにするのは

難しいといえます。

 

この乖離を埋めるためには、

エビデンス作りは研究者、

使うのは現場

といった分業をやめていく必要があると思います。

 

現状の限られたデータを用いて行った記録を

再度研究結果として報告していく

といったことを繰り返して

より様々なパターンの結果を明らかにしていく。

(現場の管理栄養士も研究者として活動もしていく)

 

これらを繰り返していけば、より様々な

エビデンスが増えていくと考えられます。

 

さいごに

 

 

今回は少し難しい話でしたね汗

 

とにかく言いたいことは

・論文での結果は、そのまま現場で使用できない!

・その乖離を埋めるためにも現場でのデータを

 再度論文としデータを算出していく!

ということです。

 

まぁ、現場でのデータを研究者に渡してデータを出してもらう

というのも、アリだと思います!

 

とにかく、現場の管理栄養士と研究者の距離を

もっと近づいて協力していくことが

重要だと言えます!

 

以上、スポーツ栄養における問題点でした!

 

参考文献はコチラ!

スポーツ栄養について

この1冊で理解できますよ~